第一のハードル
旦那様は今日も頑張って起きてました。
よく頑張りました。奥様に伝えなきゃ。
お仕事なのでふーちゃんはお留守番。
奥様もいないからテレビも電気もついてない。
寒かったです。
奥様に今日持っていく化粧水忘れないかなと心配してたけど急いで帰ってきて奥様に会いに行きました。
顔色良くなかったけどどうしたのかな??
心配心配。
おかえりなさい。ちょっと元気そうになってる。
コロコロ変わるからわからんね。
今日も電話しています。
「手が動きにくくなってる、でも手を握ることは力も入れてできる。でもマスクつけたり、ケータイは持てなかったりする。文字入力もできなかった。でもそれらが何事もないような反応だから自分ができていないことが理解できていないのかな。」
旦那様はボーッとしています。
明日はまず乗り越えないといけないようです。
いきなり明日?まだじゃなかったっけ??
というか何があるの???
とふーちゃんも思いながらまた心配になりました。
タバコ吸いに行く。
ボーッとする。
泣く。
何回か繰り返してこんなことを言いました。
「奥様明日頑張るから皆もお祈りしようね。」
皆お留守番してるけど実はずっとずっとお祈りしてます。
明日はもっともっとお祈りします。
1人と数匹
1人で起きれない旦那様。奥様がひたすら声をかけてる姿は今日はありませんでした。
うるさい音が鳴り、ごそごそ。
またうるさい音が鳴り、ごそごそ。
1人で頑張ってました。
それから旦那様はあまり家にいませんでした。
奥様に会いに行ってきたようです。
目が腫れています。
一度帰ってきて、また行きました。
奥様に会いにまた行ってきたようです。
目がやっぱり腫れています。
お話ししてくれました。
「ちょっと顔と口がいつもと違うけど元気だったよ」「頑張ってるからこっちも頑張ろうね」
旦那様はいつもの口調でした。
よかった。
お家にはふーちゃん、プーちゃん、しろくまちゃん、ねこちゃん、うさこ、しーちゃん、べーちゃんがいます。
うさことしーちゃん、べーちゃんはいつもお布団にいます。奥様と旦那様といつも一緒に寝ています。
前奥様がいなくなったとき、旦那様とうさことしーちゃん、べーちゃんはただただ一緒に泣いていました。
でも今回は落ち着いています。
必死で落ち着いたふりをしています。
みんな寂しいです。
元気で優しい奥様に会いたいです。
でも旦那様が一番寂しいんね。
だからふーちゃん達はいつも笑っときます。
たまに我慢できないときは一緒に泣いてね。
もやもや病③
旦那様が誰かと電話をしていました。
「もやもや病と脳梗塞って言ってた。MRIとCTを見たけど脳の血管が細いというか途切れている。脳に出血がある。顔の左側が麻痺してて喋るのもゆっくりでうまく喋れてない。表情もぼーっとした感じ。手とか足も左は動いてなかったんじゃないかな。」
その後の電話。
「今集中治療室にいてこのままこの部屋で入院みたいよ。でも目が離せない人達がいる場所だからとりあえずは逆に安心かも。まだ顔の左はおかしいし喋るのもちょっと口がうまく開かんけど一応喋れたし、足曲げてって言ったら曲げれてたからまだよかった。」
旦那様はほっとしてる様子でした。
でもそれは30分間だけでした。
ふーちゃんに笑えない、抱っこできないって言ったのは電話の後です。
説明もしてくれません。
iPadにはこんなことが書いていました。
血が出るパターンはよろしくない。
手術になっても失敗するかもしれない。
元気になってもまたなるかもしれない。
旦那様の顔色が明らかに悪くなってることに気付きました。
パンを食べる手もすぐに止まり、すぐにぐちゃぐちゃになりゴミ袋に入れちゃいました。
何をすることもなくただソファに座り、時折テレビのチャンネルを変え、涙を流しながらiPadを見ています。
ふーちゃんはプーちゃんとしろくまちゃんとねこちゃんと一緒にいつものソファに座ってます。
奥様がいるときはふーちゃん達はお布団に行きます。
でも今日はずっとここ。
もやもや病①
もやもやする。
「わからーん、めっちゃもやもやするー!」
「考えても無理やからもう寝るよー」
「ラスト、めっちゃもやっとしたわ」
「そうなんやー、でも言わんといてね!」
旦那様と奥様の会話。
諦めが肝心の様子。
でも諦めれなくて帰れない?
『病(びょう)』
がつくと変わるのかな…。